2012年2月19日日曜日

PLCの評価基準表 ・ その1

いよいよ教師が学び続ける学校(PLC)づくりのための要素と具体的な方法を紹介して行きます。
 今回は、そのシリーズの第1弾です。

 昨年末アンケートで、自分の学校のPLC度を評価していただいたわけですが、その時点ではまだ評価の視点を提示していませんでした。皆さんがどのように評価するのか見てみたかったからです。(この分野は、日本においては未開拓の分野です。このことの重要性がまったくと言っていいほど認識されていません。)

 今回は、PLC(=教師が学び続ける学校)を構成すると思われる要素を5つにまとめました。
 以下の5つの視点で、自分の学校のPLC度を評価すると100点満点で何点になりますか?(各項目、それぞれ20点として)

① 子どもたちの学びに焦点を当てて授業がされている度合いはどれくらいか?
② 教職員がいくつかのチームに分かれて、相互に協力し合いながら常時学び続けているか?
③ 教職員は、常に好奇心とオープンさをもって、ベストの学び方・教え方を探究し続けているか?
④ 授業改善の方法として、研究と実践に割いている度合いはどれくらいか?
⑤ 結果志向の度合いはどれくらいか?

 上の各項目を3段階ないし4段階に区切って評価できる形にすると、「評価基準表」ができあがります。
「評価基準表(ルーブリック)」と言われて、ピンときますか?
 それは、評価をガラス張りにするだけでなく、単に教師による評価ではなく、生徒たちの自己評価や修正・改善まで可能にする手段です。指導案に書く評価規準とは、威力が比べものになりません。
 もちろん、人事評価や学校評価にも使えます。逆に使わないと、単なるABCなどの記号だけでは、何をどうすることが改善につながるのか皆目わからないままが続くだけです。

 上の5つの項目については一つずつ詳しく書いていく必要がありますが、簡単には説明できないので、順番にいきます。
 今回は、④の授業改善の方法として「研究ないし研修」として取り組まれていることと、「実践」として取り組まれていることの度合いについてです。
 4段階で紹介します。(通常は名前の通り「表」の形になっているので、「評価基準表」といいますが、ここでは各段階を箇条書きの形で以下に示します。)

◆第1段階(一番低いレベル)は、ほとんどの学校が現在行っている校内研究・研修です。年間計画を立て、各担任や専科の教員が、年に1回は研究授業を行っているやり方です。年に数回は、指導主事を含めて外部講師を招聘し、指導を受けています。

◆第2段階は、相互の授業参観とインフォーマルなフィードバックのやり取りが中心に行われています。第1段階ではフォーマルな形式のやり取りが中心なのに対して(その分、得るものも少ない)、頻繁なインフォーマルなやり取りの方が格段に得るものも増えます。管理職による授業参観も頻繁に行われ、適切な授業改善のためのやり取りがこのレベルでも展開しています。★

◆第3段階は、第2段階に加え、学校内には存在しない教え方・学び方を積極的に収集し、それを授業で積極的に試している状態です。(第2段階までで陥りやすいのが、「ヘタな授業の真似し合い現象」です。同僚間で「こういう授業をやりたい!」と思えるようなものがない場合は、その情報を広く学校外に求める必要があります。圧倒的多数の教師は、この努力をしていません。教科書をカバーすることに追われて。生徒指導や部活動に追われて。その他の雑用に終われて。
でも、教師としての優先順位で一番高いのは、これしか考えられないと思います。その時間と環境と情報を提供するのが管理職と教育委員会のスタッフの役割です。★★間違っても、教師が達成感や充実感を味わえない研究や研修をやり続けることではありません。★★★)

◆第4段階(目指しているレベル★★★★)は、第2、第3段階に加えて、すでに「こんな授業をやりたい!」というイメージが持てている教師が大半で、日々の授業(実践)を振り返り、それを次の授業に活かし続けている状態です。
教師たちが絶えず学び続けている(=ワクワクする他所の授業実践に関する情報を恒常的に入手し、自分や同僚の実践を振り返ったりする)ことを通して、刻々と、授業改善が行われていることが、教師たち自身はもちろんのこと、生徒たち、管理職、親も認識できる状態です。つまりは、2月12日に紹介した図が行われている状態です。
生徒たちが、主体的に学習に取り組み、各教科が好きになり、各教科で身につけるべき知識やスキルを確実に自分たちのものにしている状態です。さらに言えば、「自立した教師たち」が「自立した学び手たち」である生徒たちと、自分たちの授業を一緒に作り出している状態です。そこには、教科書をカバーすることに追われるような状況は欠片もありません。

 「評価基準表」と「実践にどれだけこだわるか」の大切さの両方を理解していただけたでしょうか。

 私は、20年前にほとんどの学校や教育センターで、第1段階しか行われていないことに唖然としてしまいました。「こんなので、学べるはずがない!」と。
 それから約10年間、より効果的な方法を探し求める中で見つけたのが、以下に紹介する方法です。それらのほとんどが日本では見つけられなかったことが、カタカナ文字が多い理由です。
 第1段階から第4段階までで具体的に使える方法を、『効果10倍の学びの技法 ~ シンプルな方法で学校が変わる』(PHP新書)=太字『学びで組織は成長する』(光文社新書)=斜体文字から紹介します。(太字+斜体は、両方で紹介されています。)


 <以下は、メルマガの続き>


第1段階
研究協議を、より学びのあるものに(「大切な友だち」という方法)
ワークショップ

第2段階
ジャーナル
・ シャドーイング
相互コーチング
・ メンタリング


第3段階
学習サークル
・ ブッククラブ

他校訪問
お役立ち情報誌
週間ジャーナル
プロジェクト・チームアクション・リサーチ

第4段階 ~ 2月12日の実践を磨き続ける図が展開している状態
ジャーナルのブログ化とそれへの相互フィードバック
メーリングリスト
・ 自己開発計画+チーム改善計画
・ アクション・ラーニング


 基本的に、従来の「研究」や「研修」の居場所はほとんどない、ということです。いまのままの研究や研修に時間を割くことは、時間とエネルギーの無駄づかいです。大切なのは、イベント的にすることではなく、継続的にすることだからです。ぜひ、より効果的な方法を活用して、教師の学びを作り出してください。それも、押し付けでやらせるのではなく、進んでやりたくなる方法を一緒にしたり、紹介する形で。

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★ 第2段階の項目は、当初、「第1段階に加えて」相互観察や相互コーチングやメンタリングを、と書いたのですが、第1段階のやり方を続けることはどう考えても効果があるとは思えないので、削除しました。

★★ この重要な役割の認識が極めて薄く、しかも方法を持ち合わせないことが、私に『校長先生という仕事』を書かせました。

★★★ 相変わらず校内研修、センター研修の主流を成しているのは、誰が決めたのかも今となってはわからないスケジュールにその年の担当者が脈絡のないテーマを並べ、講師を探すようなことをしていますから、一貫性がまったくありません。「私たちは、計画通りにやりました」と言えるためにしているだけです。教師は、それに大人しく従うだけ。これが、教師たちが教室に戻った時に、子どもたちを対象にした授業や時間割の悪いモデルになり続けています。脈絡のないものをひたすら我慢して大人しくやり過ごすのが、研究であり、研修であり、授業であるという。

★★★★ 目指しているレベルを含めて、第2段階以上は、質的にも量的にもこれで満足というものはありません。回数も、負担のない程度に多くです。理想は「日々」ですが、ここでは「刻々」としました。それに対して、第1段階は、回数を最初から限定しています。学びに回数などあるはずがないのに。

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