2012年4月29日日曜日

これを言ってはおしまいかも知れませんが…

これまでPLCの評価基準表について、その1その2その3と紹介しました(+中休み)が、表題のタイトルでMさんより以下のメールを頂きました。

   普段努力すべきところをおろそかにしている人ほど結果や成果が気になるし、そこで自分(ここでは教師)が、対象となる人(ここでは児童・生徒)にプレッシャーをかけて責任逃れをするのではないですか? 
   例えば、まともな授業ができない先生ほど「ここはテストに出る範囲だから、しっかり勉強しておけ。」とか、「お前らは、努力(学習意欲)がないからこんな成績しか上げられないのだ。」とか…。自らの努力や精進はさておいて。 
   自分で教材研究をして授業に真摯に臨む人は、自らの力不足を反省するものです。一般社会人であっても謙虚な人はそうなのではないでしょうか。そのことを指摘できる管理職はどの程度いますか?もっと言わせてもらえば、そのことに気付かない管理職(リーダーというよりマネジャー)が多いのではないでしょうかね。残念ながら…。 

まさに書かれているとおりだと、私も思います。
教師も、管理職も、教育委員会も、文科省も、悪循環の中でもがいている(もがいていること自体気づいていない、あるいは気付いていても、見て見ない振りをしている)人が多すぎるのが残念ながら現状です。
Mさんは指導主事や校長をされた方ですから、そういうことはすべてお見通しなわけです。


似たような話を1年半ほど前に6~7人の熱心な先生たちとしました。

「蝶として教師になった先生たちも、1年もしないうちにほとんどが蛾になってしまう。   
学校の中に組み込まれている諸々が、1年もしないうちにみんなを蛾にしてしまう。   
学校というところは、蝶でいることがとてつもなく難しいところだ」という内容でした。


Mさんの指摘や、「蝶を蛾にする」文化をもってしまっている学校および教育システムであるということをしっかり
 ⇒ 認識する・自覚することからしか始まらない!!
と私は思っています。


そこで、今回は「授業に真摯に臨む教師」「蝶であり続けたい教師」「情熱★★をもって教え続けたい教師」への10の提案を紹介します。


    <以下はメルマガの続き>



1.常に学び続ける ~ これしかありません! 学び切ることなどあり得ないので
2.あなたが生徒の最初の先生ではない ~ 責任を背負い込まない。同僚や親と協力する
3.同じ学校は存在しない ~ 学校は一つひとつみな違う
4.他の授業を見せてもらう。自分の授業を見てもらう
5.ネットワークを築く ~ バラバラではどうにもなりません! サポートし合うこと/刺激し合うことが鍵です。個人レベルとプロとしての両方で
6.親との関係を築く
7.規則よりも物事の進め方(ルーチン)に重きを置く ~ 管理するのではなく、生徒たちが主体的に動けるようにする
8.生徒に敬意を持って接する、パートナーとして接する、質の高さを求める
9.成績に引っ張られず、評価を学びに生かす ~ これについては近々扱いたいと思っています
10.       生徒たちがイキイキと学んでいることが何よりも大切 ~ そのためにも教師こそがイキイキと学びのモデルを示し続けていることが不可欠!

       参考: The Passionate Teacher, Robert Fried, Beacon Press, p. 302


★ 今月の初めにライアル・ワトソンの『水の惑星』に出会って以来、彼の本を読み漁っています。昨夜読んでいた『スーパーネイチャーⅡ』の中で、結核がその原因を知ることで急激に減った経緯が紹介されていました(82~86ページ) 教育も同じように原因と(その対処法)を知ることで改善していきたいものです。

★★ 「情熱」 ~ これほど大切なものはないのに、これほど教育の世界で軽視(ないし無視)されているものはないように思います。


2012年4月22日日曜日

よい学校とは

ラリー・キューバン(教育社会学者)というアメリカ・スタンフォード大学名誉教授がいます。その著書「Why is it so hard to get good school?」の中で SchoolA,SchoolB,SchoolC,SchoolD4つの異なるタイプの「Good School」を紹介しています。

A 伝統的手法による正統派の学校  
知識伝授型の授業で、統一テストの点数を大切にする学校

  B プロジェクト型の学習を中心にすえた進歩的なスタイルの学校

C 教員の退職者が毎年大量に続いていた、荒れていた学校を、自分たちの生活に身近な問題を取り上げた学習などをカリキュラムの中心にすえて、立て直した学校

D 南米からの移民子弟が大半を占める学校で、国際色豊かなカリキュラムを中心にすえた学校

彼の結論は、『「よい学校」の定義は難しい。何がよいのか、だれにとってよいのか。ただ、多様性があっていい。多様な子どもたちのニーズに応えるような多様な学校があっていい。』というものです。

そして、「取り散らかった」(Messy)行政の施策が、どれほど教室の改革につながっているのかとも言います。アメリカにおける競争原理にもとづいた改革はうまくいっていないようです。「行政主導」の改革がわが国でもさまざまな形で行われていますが、みなさんの地域ではどうでしょうか。
日本の公立学校はさきほどの分類で、タイプAに追い込まれているところもありますし、タイプC,Dもあります。ただ、プロジェクト中心のカリキュラムの学校は見かけません。アメリカのチャータースクールがこのタイプを取るケースが多いようです。もちろん、すべてではありません。何せ、「多様性」がアメリカの教育の真骨頂だからです。

 日本の学校にも、もっと多様性があっていいと思うのは私だけでしょうか。
これからの学校教育に不可欠な「創造性」について渕上克義は「学校が変わる心理学」(ナカニシヤ出版1995)において次のように述べています。
「自由に情報・意見交換がなされ、かつ成員の異質性が高いときに「創造性」は高まる。」まさに、「みんな一緒に」の同調圧力の高い集団では創造性が高まらないということです。校長として心に留めておきたいことの一つだと思います。

2012年4月15日日曜日

新年度がスタートしました

新年度がスタートしました。



私は前年度に引き続き同じ学校で勤務することになりました。今年度で3年目です。





職員の異動は非常勤職員まで入れると8名になります。



近年の傾向として、教育現場での非常勤職員の数は年々増加しています。もちろん、フルタイムの本採用職員が増えれば文句ないのですが、一向に増える気配はありません。





ただ、うれしいことは若手の職員の数が増えたことです。



彼らの多くは今年度の採用試験に挑戦する臨時採用の教員です。何とか、試験に合格できるようにサポートすることと、日常的に彼らが「学べる」しくみを作りたいと思います。



「学ぶ」中身は単に試験に合格するための知識の詰め込みだけでなく、教師としての力量向上につながることです。放課後は忙しいのは当たり前なのですが、そこを何とか工夫したいところです。





次に今年の目標は「土曜授業」でいかに地域や社会と連携した「授業づくり」ができるかということです。本市では、年2回から最大11回まで校長裁量で「土曜授業」が可能になりました。私は、地域と連携した総合的な学習の時間をこの土曜授業に充てることにしました。





特に10月に予定している「地域の歴史探訪」をテーマとしたウォークラリーや11月の「キャリア教育に関する講演及びパネルディスカッション」では地域の方々と共同で作り上げていきたいと考えています。単なる授業時間の確保で土曜授業をやるのはどうかと思いますが、「地域の学校」という理念がこれからの公立学校のめざす方向であるならば、地域の方々と作り上げていく授業が必要になるでしょう。確かに、そのための打ち合わせなどに手間も時間もかかりますが、そこはなるべく省力化のための知恵を出していきたいものです。





前々回の記事の中で、「学校経営ビジョン」は関係者(教員、児童生徒、保護者など)の意見を踏まえたものが望ましいという指摘がありました。新しい学校に着任した年はなかなか難しいと思いますが、2年目以降は随時、これらの人々から意見を聞く機会はいくらでもあるわけですから、十分に可能だと思います。私は大きな学校行事の内容に関しても、保護者の意見を聞く機会を作ることにしています。「これまで通り」が一番楽な道なのですが、「振り返り」に基づいた「チャレンジ」が求められる時代です。



2012年4月8日日曜日

PLC の評価基準表(中休み)

これまでPLCの評価基準表について、その1、その2、その3と3回紹介してきました。
 これらは、暫定的なものです。ファイナルではありません。
 あくまでも、学校や教育委員会でしていることを振り返るため、そしてさらによくするための一つの(有効な?)方法として、これまで私が集めた情報や考えてきたことをまとめる形で、情報提供しました。

 そこでお願いです。

 ぜひ、その1その2その3を読み直して、①いいと思った点、参考になった点、活用したいと思った点、②わかりにくい点、はっきりしない点、③賛同しかねる点、違うんじゃないかと思った点、そして④その他、気づいた点、印象、コメント等をお送りいただけませんか。(それぞれのコメント欄に書いていただいても、pro.workshop@gmail.com宛に送っていただいても結構です。)

 その1~3をさらに修正・改善するために。
 そして、これから書く予定のその4~6をよりよいものにするために。
 ぜひ、お願いします。

2012年4月1日日曜日

学校経営計画

各学校や教育委員会レベルの今年度の学校経営計画は、すでに立ててしまった(HP等にアップされてしまった)でしょうか?

 前回のPLC便りの関連でいうと、校長や教育委員会の担当者が一人(ないし数人)でつくってしまうことは、極めておかしなことになります。

 それが、計画は掲げられても実行されない理由です。
 たとえ、どんないいビジョンや、それに基づいた目標や計画が提示されようと、それを見せられた教師、生徒たち、親たちにとっては、「標語」や「作文」に過ぎませんから。

 今からでも間に合います。
 本当に実現したい/行動を起こしてほしいなら。
 ぜひ、子どもたちや教師の声と意見を反映したビジョン、目標、そして計画に差し替えてください。

 具体的な反映の仕方は、『校長先生という仕事』(平凡社新書)のビジョンづくりの章(147~161ページ)と『効果10倍の学びの技法 ~ シンプルな方法で学校が変わる』(PHP新書)の「親も生徒も参加してつくる学校の教育目標」(188~193ページ)が参考になります。

 ポイントは、絞り込むことです。★
 と同時に、つくる過程こそが大切だということです。

 学級の目標や経営計画も、上で書いたことがそのまま適用されます。


★ 4~5に絞り込むのではなく、多くても2つ~3つにです。
  普通の人間は、それ以上一緒に取り組むことはできませんから。