2014年3月2日日曜日

とても参考になる他業種の試み



  参考になることが書いてあったのは、『医師は最善を尽くしているか』アトゥール・ガワンデ著、みすず書房です。以下は、その「あとがき」から、ポジティブな逸脱をするための5つの提案をまとめました。

① 筋書きにない質問をしなさい  ~ ありきたりの思考から脱することができる。思わぬ出会いや発見が可能になる。質問すれば、機械の歯車も違ったように感じられるだろう。
     不平を漏らすな  ~ 医師が不平を漏らすのを聞くことほど、周りのやる気を奪うものはない。
   医師は自分で自分のコーチをしなければならない。困難な局面にさしかかったとき、駆け寄ってきてくれるコーチはおらず、医師は自分で自分を励まさなければならない。しかし、医師はそれがうまいとは言えない。会議室や学会場、病院のカフェテリアなど、医師が集うところならどこでも、会話の重心はわれわれを取り囲む災いについての長談義に傾いてしまう。しかし、これに抵抗しなければならない。災いの長談義はつまらないし、何も解決しないし、人を落ち込ませる。どんなときでも太陽に明るくふるまえというわけではない。何か他の話ができる準備しておきなさい。読んだ本にあったアイディア、出会った面白い問題、何もなければ天気の話でもいい。それで会話を続けられるかどうか試してみてほしい。
     何かを教えろ  ~ 教えることでこそ、学べる
     何か書け  ~ ブログに数節書いたり、医学雑誌に論文を投稿したり、あるいは文学同好会で自作の詩を披露したりなどなんでもいい。とにかく書きなさい。完璧を目指す必要はない。あなた自身の世界を観察してくれる他人を加えることだけが必要である。
   書くという行為は、仕事から一歩身を引き、問題を見通す機会を与えてくれる。度を過ぎた怒りに駆られたときでも、書くことによって、思慮深さをある程度は保てる。
   そして何よりも、たとえ小さなことでも、読み手に周りの大きな世界の一員という感覚を与えてくれる。読み手とはコミュニティのことである。文字になった言葉はそのコミュニティの中の一員になったという宣言であり、そしてそのコミュニティに今後も何かで貢献するというやる気の表れでもある。
   だから、読み手を選びなさい。何かを書きなさい。
⑤ 変われ  ~ 大半の後期採用者(late adopter)でも、ずっと疑い続けて、変化に抵抗する者でもなく、少数の初期採用者(early adopter)になりなさい。変化するためのチャンスを探しなさい。すべての新しいトレンドを追いかけろというのではない。今やっていることの不十分さを努めて認めるようにし、そして解決法を探すようにしなさい。いくら成功したとしても、不確定性と失敗はいつでも医学につきまとう。それゆえ、医学は人間的である。時には痛みを伴い、時にはやりがいがあるだろう。
   医師の決断は不完全なものにならざるをえないが、それが人命を左右する。この現実があるから、他人と同じことをするのが一番安全だと人は思いがちである。医療という機械のなかの白衣を着た歯車になるわけである。
   しかし、医師はそうなってはいけない。社会に対するリスクと責任を他の誰かに押し付けてもいけない。何か新しいことを試し、何か変えてみなさい。何回成功し、何回失敗したかを数えなさい。それについて書きなさい。どう思うか人に聞きなさい。そして、会話がどこまで続けられるか試してみなさい。

 仕事はなんであれ、現状を打開する方法は似たり寄ったりということでしょうか? 医師を教師に、医学を教育に置き換えると、ほとんどそのまま読めると思われませんか? でも、皆さんにとって参考になるのは、あとがき部分だけかもしれませんから、購入までは薦めないかも。

0 件のコメント:

コメントを投稿