2014年8月17日日曜日

マルチ能力

 マルチ能力に関して、あと2か月ぐらいで出版される『理解するってどういうこと?』(エリン・キーン著、新曜社)の中で、私は以下のように解説しました。

 訳者の一人の吉田は、「知的な得意な部分」と言われても、何も浮かびません。しかし、マルチ能力なら「身体運動能力」と「空間認識能力」と答えられます。それもあって、『マルチ能力で育む子どもの生きる力』というタイトルの本を訳してしまったぐらいです。「知的」ないし「能力」の捉え方を広げることで、救われる子どもたち(大人も)がたくさんいると思ったからです。ちなみに、マルチ能力として捉えられているのは、上記の2つ以外に、「論理的数学的能力」「言語能力」「音感能力」「自己観察管理能力」「人間関係形成能力」「自然との共生能力」の8つが含まれています。普通の人は、これらの中で1~3つは得意なものがあり、1~3つはかなりダメなものがあり、残りは平均という感じです。これなら、救われると思いませんか? ちなみに、マルチ能力と教科はまったく対応していないことを付け加えておきます。た とえば、吉田は空間認識能力があるので、地理や歴史は得意なのですが、場所に関連づけてくれさえすれば、算数・数学、理科、国語、英語等でも得意になれた 可能性はあるわけですが、残念ながらそういう教え方はしてくれませんでした。また、それぞれの能力は固定化されたものではなく、変化もします。たとえば、 人生の半分は読む・書くがまったくダメだった私ですが、いまはそれなりに読み・書きができ、公開ブログを3つ、非公開ブログも3つ書いていますから。
以上、引用(第8章の訳注[2])終わり。

その『マルチ能力』の本の中には、
  たとえば料理をつくるとき、私たちがどんな能力を使っているかを例にとってみましょう。レセピを読んだり(言語)、人数に合わせて量を配分したり(論理的 ―数学的)、家族全員を満足させるための献立を考えたり(人間関係形成)、自分自身の食欲をコントロールしたり(自己観察・管理)します。さらには材料へ のこだわり(自然との共生)や、ある程度の包丁さばきや道具を扱う器用さ(身体―運動)が求められるわけです。(『マルチ能力が育む子どもの生きる力』44ページ)

と家庭科の中の料理実習でもふんだんにマルチ能力が使われています。

このことに興味を持った知人★が、
  お料理をするときに複合的に使う能力が載っていましたよね。あれには空間と音感が乗っていなかったのですが、おいしく見えるように彩りを考えたり、盛り付けを考えたりするのが空間能力として加えられるのではないかと思って紹介したら、お肉などを焼いている時にジュージューと音の強弱で焼け具体を調整したり、食材をきる時にトントンとリズムに乗って切るのが音感で付け加えられるのではないかと、研修会の参加者が発見してくれました。(2003年4月16日 のメール)

ということで、料理をするのにも8つのマルチ能力をすべて使っています。
プロの料理家は、これらすべてを使いこなしていると思いますが、私などもほとんどを??

こういうふうに能力を定義してくれたら、ありがたいと思いませんか?
元気になれるというか。 自分が輝けるチャンスが何倍にも増えるわけですから。
通常は残念ながら「知的」とも「能力」とも捉えられていないものばかりです。
しかし、生きていくには欠かせない「能力」ばかりです!!

ちなみに、いまの学校教育が重視している「能力」は何だと思われますか?

そして、文科省や教育委員会が学力テストで測ろうとしている「学力」には、何は含まれていますか?


★ 6月8日の情報提供をしてくれた知人と同じ。
http://projectbetterschool.blogspot.jp/2014/06/blog-post_8.html

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