2014年12月7日日曜日

教科横断型の授業


  先月10日に「世界教育戦争」(アマンダ・リプリー/ 北 和丈訳・中央公論新社)という本が発売されました。原題は「The Smartest Kids In The World」です。
   この本には、3名のアメリカ人高校生がそれぞれフィンランド、韓国、ポーランドに留学する話が紹介されています。

    113ページに次のような文章があります。エリックと言う高校生(高校はすでに卒業しているが、大学に入る前に海外留学をしたくて交換留学生になる)が韓国に留学するのです。

 
「面白いことに、エリックが韓国で本当に楽しいと思えた唯一の授業が数学だった。

~(中略)~

  受けていた授業は、表向きには幾何学ということになっていた。幾何学を習って高校を卒業しているエリックには、理解できない内容はほとんどなかった。ところが、韓国の生徒たちが幾何学を学んでいる方法そのものは、エリック自身が経験してきたのとはまったく異質のものだったのである。

 先生の話は、三角法や微積分などいろいろな分野をまたぎつつ、あたかも幾何学が数学という大きな宇宙に浮かぶ太陽系の一つにすぎないと言わんばかりの筋立てで進んでいった。異なる分野を組み合わせることで現実世界の問題を解決することができる数学は、もはやきれいに分類された科目としての数学とは別物だ。」

 
   韓国の数学教師がすべてこのような教科横断型というか、学際的なアプローチのしかたで数学を教えているとは思いませんが、このような実践をしている教師がいることは事実のようです。エリックもアメリカで受けた教育の中で、このような体験をしたことがなかったようですので、アメリカでも少なからず教科書をベースにした知識注入型の授業があることも事実のようです。

 
    以前からわが国でも教科横断とか、教科統合の話はありますが、なかなか現実には前に進みません。「総合的な学習の時間」は、唯一それが公式にできる場であったわけですが、どうもスキル獲得とか、別な方向に逸れていきました。

「教科縦割り主義」は教える側の都合が優先されてきたとも言えるわけで、子どもたちの側からすれば、つながりの見える形で学んだほうが、より面白く学べるわけです。

『「読む力」はこうしてつける』(吉田新一郎・新評論2010)は、こうした教科縦割り主義を打破するヒントがたくさん紹介されている本です。この本を手掛かりに、多くの子どもたちが意欲的に学べる実践が各地で展開されることを期待したいものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿