今回は最近出版された「たった一つを変えるだけ」(ダン・ロスステイン、ルース・サンタナ/訳・吉田新一郎・新評論2015)を取り上げます。
私は中学校教員を30数年やりましたが、ここ15年くらい前から「エッセンシャル・クエスチョン」を研究対象の一つにしてから、「問い」の重要性について考えてきました。その問いの大切さについてこれほどわかりやすく、また具体的にその進め方について語ってくれた本はないと思います。
同書10ページの「質問づくり」には次のように述べられています。
質問づくりは、過去20年間にわたって慎重に開発され、試され、簡素化され、改善されてきました。その手順は、以下の7つの段階に分けられます。
①「質問の焦点」は教師によって考えられ、生徒たちがつくり出す質問の出発点となる。
②単純な四つのルールが紹介される。
③生徒たちが質問をつくり出す。
④生徒たちが「閉じた質問」と「開いた質問」を書き換える。
⑤生徒たちが優先順位の高い質問を選択する。
⑥優先順位の高い質問を使って、教師と生徒が次にすることを計画する。
⑦ここまでしたことを生徒たちが振り返る-----学んだことは何か? どのようにして学んだか? 学んだことをどのように応用できそうか? など。
⑥もまた重要ですね。これから学習する内容をここで、教師が生徒とともに、決めていく。これなら「学習意欲が低い」というような課題は出てくるはずがありません。むしろ、子どもたちが進んでやりたくなるような活動を計画することができるわけです。
⑦最後に、「振り返り」です。これによって、さらにこの学習を深化させることができます。
本当に、この「たった一つを変えるだけ」が多くの教室で実行されるならば、今の教育は間違いなく変わるものと思います。近年、大都市近郊では、小中学校に若い先生方がたくさん採用されています。この先生たちが、「教師からの問いかけ」を中心とした従来の授業のやり方を真似るのではなく、「子どもからの問い」を大切にする授業にするだけでも、この国の教育が変わっていくものと思います。「たった一つを変えるだけ」をぜひ多くの若い教師に読んでもらいたいですね。
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