2016年4月21日木曜日

創造性の大切さ


先週の話題は「創造性」でしたが、パートナーが創造性やイノベーションを阻害する要因として次の6つの項目を取り上げました。
    
・「よく聞いてもらえない」

 忙しいということもありますが、話を十分に聞いてもらえずに改善が進まないということも往々にしてあります。教師同士、あるいは生徒との対話は大切にしたいものです。
   
・「新しい考えを排除している」

 前例を踏襲するというのが仕事を進めるうえでは一番楽です。しかし、それでは仕事をこなしているだけであって、そこに関わる人たちの幸せにはつながらないでしょう。組織が管理的になればなるほど、新しいことに挑戦するよりも、無難にこなしていこうという守りの姿勢が強くなるものです。

 学校は毎年それを構成するメンバーが子供も含めて、新しくなる組織なのですから、そのメンバーに一番ふさわしいやり方で、みんなが望む目標に向かっていくべきでしょう。

 前年度末に大急ぎで作った年間計画に基づいて、いろいろなことを進めていくのではなく、その都度、そのときの学校の実情をベースにして、カリキュラムを修正していくことはぜひやらなくてはならないことです。

・「安全・安心を優先している」

先ほどの話とも重なりますが、リスクを冒したくないという気持ちはだれにでもあります。しかし、それが教師であれば、無難に事を進めようという姿は子供の目にどう映るでしょうか。 

・「疑問や質問が提示できない」

 「問い」を立てるということの大切さは、今までに何度も出されてきましたが、まさに「問い」「疑問」こそが新たなものを生み出すの源です。

 
・「自由を制限している」

 わが国の学校にどれほどの自由があるのか、はなはだ心もとないところですが、それでもできる範囲で自由の領域を広げていく挑戦が必要です。特に、授業の中ではもっと子供たちに自由を与えて、創造的で、魅力のある内容にしていくことが可能だと思います。
   

・「グループの中の多様性を排除している」

 学校だと、すぐに「足並みをそろえて」と言われ、自分のクラスだけ独自のことはできないような雰囲気がありますが、そこは多様性をもっと認めてよい領域だと思います。若手の先生方が遠慮せずにどんどん自分のカラーを出せる学校はいいですね。最低限の協調は必要ですが、初めから安全な道だけを取ろうとせず、挑戦してほしいものです。 

 教育は最も創造性が求められる仕事であるにもかかわらず、ルーティンワークをこなすだけの仕事になっているとしたら、これほど不幸なことはありません。失敗を恐れず、多くの教師が新しいことに挑戦していってほしいと思います。

2016年4月17日日曜日

大切な教師の創造性

教師の仕事は、創造性なしに存在するでしょうか?

管理職に限らず、教職員は誰しもリーダーシップが求められています。
よく言われる「一国一城の主」である教師は、当然です。教室の中に入ったら、他にリーダーシップを発揮できる存在はいませんから。

リーダーの特徴を表わす言葉として、「影響力がある、献身的、視野が広い、集中している(焦点/優先順位が明確?)」などたくさんありますが、「創造性」は含まれているでしょうか?

少なくとも、最近よく言われる「21世紀のスキル」の中には、創造性が必ず含まれています。ということは、教師(管理職も)はそれを子どもたちに(教師たちに)モデルで示さないといけない立場にあることを意味します。創造性こそが、イノベーション=革新的な製品やサービスやビジネス等の核と捉えられているからです。

創造性は、想像性と深い関係にありそうです。そういうこともあって、創造性は従来のリーダーの特質には含まれていなかったのかもしれません。リーダーに欠かせないと思われている「コントロールや管理」とは対照的な「自由で流動的、無秩序/混沌/カオス的状態、無拘束/無制限」といったイメージを伴っていますから。しかし、間違いなく言えることは、リーダーが習慣どおりにつつがなくこなしてさえいればいいわけではないので、適量の(しかも適切な)創造性を使うことで、驚くほどの素晴らしい効果を生み出します。それこそが教育の世界でも求められており、「革新的な製品やサービスやビジネス」につながります。(授業を「サービス」と捉えることはとても大切ではないでしょうか? 現時点では、悲しいかな、それがあまりにもなさ過ぎます!!)

それでは、このコントロールと管理、硬直化、創造性の対極にあるような学校という場で、想像的/創造的になり、そして想像性/創造性を発揮することができるのでしょうか?

下の2つの表を見ていただくと、それほど難しくはないと思われるのではないでしょうか。

資料:① 創造力をつけるためにできること

 このリストは、研修会に参加した普通の参加者によって作成されたリストです。
 
  
            出典:『効果10倍の<教える>技術』の183ページ

資料② 創造的な人の特性

 誰もがこれらすべてをもっているわけではありません。これらの中で自分がもっているものを活かせばいいのです。

 

                    出典:『創造的問題解決』B.ミラー他著の16ページ

環境・雰囲気・文化は、創造性とイノベーションに適していますか? それとも、妨げるものですか? 妨げているものは、いったい何でしょうか? 
妨げている要因にはどんなものがあるでしょうか?
     よく聞いてもらえない ~ 互いに聞けた上での、改善やアクションのためのフィードバックが行きかっていない。
     新しい考えを排除している! ~ 単に従来のやり方と違うという理由だけで。まずはじっくりオープン・マインドで聞くことから。
     安心・安全を優先している ~ 創造性=リスクを冒して挑戦すること! 無難にことを運びたいという気持ちは、その対極にある。従って、楽しむことも驚きも味わえない。
     疑問や質問が提示できない ~ 現状への疑問は、創造性の「核」と言える。疑問は「批判的思考」と言えるので、これら2つはイノベーションの両輪!
     自由を制限している(ほとんど存在しない) ~ 創造性と自由は相関関係にある。その意味でいまの学校にどれほどの自由があるかを見直す必要があり、そしてその幅を広げる努力こそが大切! 自分がベストと思えるものを追求する自由が(ある一定の枠内で)ないと創造性を摘み取りこそすれ、発揮させることはできない。
     グループ(学年や学校)の中の多様性を排除している ~ 違いがないところでは創造性は存在しない! 異なるやり方や見方は集団としての動きを必ずしも円滑にはしないが、多様性=違いの排除は互いの中にある可能性を殺すことであり、結果的に質を飛躍的に高める芽を摘み取っているだけである。





2016年4月10日日曜日

吉井コーチ(日本ハム)のコーチングから考えたこと

吉井コーチはすごいです。メジャーで経験してきたことをけっしておごるのではなく、自分の教えたいことを教えるのでもなく、あくまでもプレーヤーを中心に据えている。

私のしていることに当てはめてみると、「子どもを中心に物事を考えている」ということになる。でも、自分はどうだろう? 自分の教えたいことを教えている従来の日本のコーチと近いのではないかと思う。

そして、選手が教えを必要としている時、あるいは悩みを打ち明けてきた時、適切なアドバイスができるように自らも学び続けている。かっこいい。私自身もそんなふうでありたいと思う。

青空ミーティングも良い取り組みだと思う。学ぶ主体である選手が何をしたいのか、どんなことを考えているのかを探り、練習や試合の様子を見守る。そしてその後に彼らが何を学んだのか聞き取っている。きっとそんなときに何か声をかけているのだろう。

さらにすばらしいこととして、コーチはいつか変わっていく。でも学ぶ選手はそこに残される。コーチが違えば教え方や考え方もちがう。学び方を教えておくことでそんなことに選手が振り回されることはなくなる。

私達がしていることも、そういうことなのだと感じた。自立した学び手を育てることが大切なのだ! 
なにができる?(自問)

以上は、Y先生が
日本ハム・吉井コーチの育成術目指す理想は“選手のための図書館”
を読んで考えたことを書き出してくれたことです。

あなたは、どんなことを考える/参考にするでしょうか?

以下、記事(一部)を貼り付けておきます。

青空ミーティングで選手と対話

“選手たちにとって図書館みたいな存在になりたい”

「明らかに間違えている部分があったら指摘するが、それ以外は彼らのやりたいようにできるよう手伝いたい」

 2月のアリゾナキャンプで目撃したある光景が今も印象に残っている。紅白戦が終了した後、登板した投手全員をグラウンドに集め、芝の上に座りながら青空ミーティングを行っていた。吉井コーチはノート片手に選手たちと対話をしていた。

 後で確認したところ、キャンプ中は毎日、投手からその日の課題を聞きノートに書き出し(吉井コーチはそれを“取材”と称していた)、それを各人と練習、試合後に確認作業を行っていた。青空ミーティングもその一貫だった。

 つまり吉井流コーチ術とは、選手自ら自分の課題を考えさせ、さらにそれを克服していくにはどう対処すべきかをも一方的に指導するのでなく、話し合いながら選手にその方向性を導かせるというものだ。まさに学生が勉強に困った時に資料を集めるため図書館を利用するように、コーチは選手が自ら成長するため利用する存在であるべきだと考えているのだ。

押し付けるのではなく自主性を伸ばす


   <写真>

 これまでプロ野球のコーチ(打撃、投手に限らず)といえば、自らの経験で培った知識を元に選手たちを指導するというのが大半だった。もちろん吉井コーチは数少ない日米球界に精通する知識の持ち主であり、それだけでも他のコーチたちとは一線を画す存在ではあったはずだ。だが逆に他のコーチたち以上の経験を積んできたからこそ、少しでも多くの選手を育成するには知識の押し売りではなく、自ら考えて取り組ませる選手の自主性を伸ばすことだと感じ取っていた。

 しかしプロ野球のみならず日本の野球環境の中で、吉井コーチの理想を追求するのは簡単ではない。そもそも選手たちは子供の頃から監督、コーチから指導を受けるのが当たり前で、中には高校、大学、社会人と自分で考えることもなく、指導者に言われるがままプロまで駆け上がってきた選手も少なくない。

 こうした選手は壁にぶつかった時に自分で対処する術がなく、コーチの指導に頼り切りになってしまう。だがプロ野球でもコーチの指導は人によってさまざまで、しかも入れ替わりも激しい。コーチとうまく合致した時はいいが、多くの場合は自分の才能を開花できないまま去っていくことになる。そうした選手が自分で考え取り組むようになれれば、もっと多くの選手たちが成長していけるかもしれないのだ。

 だが選手の図書館になるには経験上の知識だけでは限界がある。それを痛感したからこその大学院入学だった。野球専門の研究室で学術的な知識を広げる一方で、吉井コーチは他の研究室の講義にも積極的に参加。スポーツ心理学、生化学、栄養学、運動学などアスリートとして必要な知識も深めていった。

意識改革が進む先に見据える投手王国

 もちろん吉井コーチをフル活用できるかどうかは各選手次第。自ら図書館に向かわなければなんの知識も得られないのは学生と変わらない。ただ吉井コーチは前述の青空ミーティングでも理解できるように、選手たちにモチベーションを与える対話も忘れてはいない。常に彼らの道標になろうとしている。

 吉井コーチの試みは即効性のあるものではない。だが投手たちの意識改革が進めば進むほど、日本ハムは投手王国へ着実に歩を進めていくことになるはずだ。

「順調です」

 開幕直前に今シーズンの活躍を祈願するメッセージを送ったところ、こんな短い返信が戻ってきた。これからも吉井コーチの選手育成術に期待を込めて注目していくつもりだ。


2016年4月3日日曜日

新刊『算数・数学はアートだ!』


あなたは、算数・数学の授業が好きでしたか?
楽しんでいましたか?
私は、決して嫌いだったわけではありませんが、単位を得るため、卒業するために仕方なくお付き合いしていたというのが本音です。
いずれにせよ、私たちはみなそれがどんな授業だったかは鮮明に覚えています。
この本は、音楽家と画家が悪夢を見ている場面から始まります。音楽家は学校で、楽器を奏でることは一切許されず、ひたすら「ルールに従って」五線譜に記号を記す練習だけをさせられています。画家も同じように、キャンバスに絵を描くことなく、ワークシートのマス目に指定の色を塗る練習ばかりをさせられています。
夢だと気づいた二人は、ともに次のことを確認します。「どんな社会だろうと、音楽や美術といった美しくて価値のある芸術を、くだらない作業に落とし込んだりはしないだろう。どんな社会だろうと、音楽や美術によって極めて自然に自分を表現することができる機会を、子どもたちから取り上げるなどという残酷なことはしないだろう。もしそんなことが起こったら、狂気としかいいようがない」と。
しかし、本書の著者に言わせると、私たちの知っている算数・数学は、まるっきりこうした悪夢にほかならず、その点で今の社会は狂気に陥っているのです。上の文の「音楽や美術」を、算数・数学に置き換えて読んでみて下さい。それでもピンとこないとすれば、ある種の感覚がすでに破壊されている証です。
幸いにも音楽と美術は、音楽家と画家が見た悪夢のような状況にはなっていません。算数・数学を音楽や美術以上にアートであると信じる著者は、本書の中でその本来の魅力を取り戻すための具体的な方法を提示しています。この本を読めば、「狂気の授業」のせいで算数・数学嫌いになってしまった人、仕方なしにやっていた人も、きっと「今からでもやってみようか」と思うはずです(訳者がその生きた証拠です!)★。生徒・学生時代から好きだった人は、さらに好きになること請け合いです。
<訳者による本の紹介・おわり>

★ 算数・数学が大嫌いだったという人も、読める本です。(原稿の段階で、数人に確認してもらいましたから。)ほとんど「文学」として書いてあるといっても過言ではありません。それほど、読み応えがあります。

◆大事な付け足し
私は、これまでとは違う算数・数学の教え方を知って欲しくて、この本を訳しましたが、読んでいただけると納得して頂けますが、算数・数学に言えることは、すべての教科で同じように言えてしまいます。あらゆる教科と教えるという行為を見直すためにも、ぜひ読んでいただきたいです。

この本は、単なる知識の本ではありません。アクションの本です。読まれて、どのようなアクションを起こしたくなったか、ぜひ教えてください。

◆注文受付◆
1冊(書店およびネット価格)1836円のところ、
訳者経由だと1冊=1600円(送料・税込み)です。
5冊以上は、1冊あたり1500円(送料・税込み)です。
本は、4月8日発売です。(届くのは、それ以降になります。)
ご希望の方は、①冊数、②名前、③住所、④電話番号をpro.workshop@gmail.comにお知らせください。
お近くの図書館でリクエストを出して読んでいただくという手もありますので、ぜひ。