2017年4月30日日曜日

生徒を知らないと/生徒に主役になってもらわないと、いい学びはつくり出せない!


『ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ』(キャロル・トムリンソン著)を、日本語教育★に携わる4人の先生たちがメールでのブッククラブで読みあっているので、そのハイライトを紹介します。第1回目の今回は、第1章(1~16ページ)です。主に紹介するのは、本からの引用です。(←青字は、私の付けたし、です。)

○考えてみると、日本語教育における学習者のレディネスや関心の多様性(p.23)は、学校教育の現場以上かもしれません。これまで「多様性」は十分認識していたつもりでしたが、それは「クラスの現状に合わせた授業」という認識であり、クラス自体はひとまとまりの集団としてとらえていたように思います。

○「自分の時間やもっているリソース(資源)、そして自分自身を、どのように分かち与えれば、自分の受け持つ多様な生徒の才能を最大限に引き出すことができるのだろうか?」(p2:7行目~)

○ウィギンズ先生は、すべての小学3年生が「スペリングリスト3」を学習しなければならないというふうに考えるのではなくて、プレ評価テストの結果に基づいて、多様なスペリングテストを生徒に与えています。(p3:1行目~)

○生徒の興味関心と関連付けるように調整された課題(p.5) ~ 教科書と進度が決まっているので、仕方がないと思わずに、ある章を始める前に、生徒の興味関心と関連付けていくことは心がけたいと思います。

○教師の目標は、生徒が学ぶことであり、学ぶことに生徒が満足するとうことであって、カリキュラムをカバーすることではないのです。(p6:12行目~)

○生徒が大切な目標を達成するために、教室の経営は予測可能で柔軟性に富むものとならなければなりません。(p7:3行目~)

○フォーマル・インフォーマルな形成的評価(p.7など)→目標の調整・ニーズを踏まえる→学習指導がうまくいく。振り返ってみると形成的評価は様々な形で行っていますが、それをどう生かすかという意識がこれまで足りなかったように思います。

○すべてを個別に用意することは難しくても、選択肢を示して、学習者が選べるようにすることはできそうです。(p.815など)

○メディア専門家(p.11) ~ この考え、すばらしいですね。司書が発展して現代にマッチした感じです。そんなに専門性はなくても、メディアリテラシーはどうしても教えなければならないですね。
→ いい学校のつくり方を書いた『いい学校の選び方』の中で紹介したことですが、デンマークの中学校に、最初は1995年に訪問し、図書館は学校の一番端に、いまでも日本の多くの学校がそうであるような体裁でありました。それが、2年後の1997年に同じ学校を訪ねたら、学校のど真ん中に移動していました。しかも、オープンで(壁や出口入り口がなく)そこを通らないとどこにもいけないような場所に!! さらには、前は、非専従の司書が一人だったのに、1997年以降は3~4人のフルタイムのメディアの専門家がいました。そして、本はほとんど消えていました。コンピューターに転換していたのです。グループワークをするスペースもたくさんありました。完全に、学び方・教え方が転換してしまったのです。それも、もう20年も前に。日本は、いまだに変えられません。アクティブ・ラーニングなどとは言っていますが。

○ルーブリックの評価基準(P14) ~ 学んだことを表現することで理解を確かなものにしているし、表現力もつきますね。日本語学習もこのような方向で行きたいです。
← ポイントは、学びの主役/主体者意識(ownership)をどうもってもらうか、だと思います。絵本の『てん』のワシテが爆発的に「てん」を描いたように。あの状態と、テキストを順番にこなして行く状態とは、あまりにも違いすぎます!
  絵を描くことと、書いたり読んだりすることとは違うと思いますか?
  http://projectbetterschool.blogspot.jp/2012/05/blog-post_30.html
○「学習者の手助けとなる評価基準」意識しておきたいと思いました。(p.10← チェックリストやルーブリックは、すでに使われていますか? 『作家の時間』『読書家の時間』に、いいのが紹介されています。

○「ジャーナル」について知りたいです。毎回授業の振り返りを書かせていますが、教師・学生ともに十分いかせていない気がします。 ← ジャーナル(学習日誌)については、『「考える力」はこうしてつける』という本で紹介しています。

○ウィルカーソン先生の8年生の国語の授業では・・・内容だけでなく、自分たちの理解の仕方や話し合い方などについても振り返りを行います。(p15)

○どんな小説にも共通のテーマについてクラス全体で話し合う機会をふんだんに設けて、そのテーマが読んでいる本の中で、あるいは自分たちの人生でどのように「展開する」のかを理解するのにどんな生徒でも貢献できるようにしています。(p16)

 第1章を読んで、一番気になったことは、まずどうやって学習者一人ひとりの能力を把握するか、ということでした。私の学校では、1学期(3ヶ月)ごとにシフトが変わります。それによって、授業を受け持つクラスも変更となるため、長い目で一つのクラスを見ていくというような想定がしにくい場合が多いのです。前学期の成績はわかりますが、それがその学習者の能力全てを表しているとは考えにくく、限られた授業の中で、どのように個人の能力を見分け、一人ひとりに見合った課題を提示することができるのか、今の段階では全くイメージすることができません。
これから読み進めながら、自分でできることは何かを探っていきたいと思います。
← http://wwletter.blogspot.jp/2017/04/blog-post.html の中の質問項目に、「前学期の評価は、生徒のことを知ったり、把握したりするのにどれだけ役立っているか?」というのを入れたらいいですね。そして、役立っていないのであれば、どうすれば役立つ情報になるのかを考えない限りは、評価して成績を出すプロセスが時間の無駄になっていることを意味してしまいます。ブログに書いたように、教師の授業も変えないし、生徒の学びの改善ももたらさないのであれば、それこそ何のためにしているのかわかりませんから。

最後に、私のオススメを3つほど:

○教師は、教育内容についての知識と、重要な教育内容を修めつつある生徒の学びの進み具合について絶えず更新される理解に基づいて、最善の指導を処方することのできる診断否のです。また、生徒のニーズに合わせて、自分のもっている技術をツールとして駆使する一種の芸術家なのです。(6ページ)

○教師の目標は、生徒が学ぶことであり、学ぶことに生徒が満足するということであって、カリキュラムをカバーすることではないのです。(6ページ)

○一人ひとりをいかす教室は、異なる方法で学び、学ぶスピードも違い、そして多様な才能や興味関心を持ち込んでくる生徒を支援するためのものです。(16ページ

★ この <「違い」を力に変える学び方・教え方>というサブタイトルの本は、対象にしている年齢や教科等は、一切関係ありません。おそらく一番読まなければならないのは、教員研修や養成課程で教えている人たちです。そこが変わらないと、一斉指導の悪循環は約束されているようなものですから。一斉指導は、対象の様々な特質が一様な時にこそ機能する教え方で、対象のレディネス=もっている知識や情報、興味・関心、学ぶスピードや学び方等が違うと、単に教師や指導者が教えた気になるだけの指導法に過ぎません!


2017年4月23日日曜日

校内研修を変えてみたら


新年度がスタートして、ほぼ3週間が経ちました。

今年の職場のメンバーはどうでしょうか? たとえ校長でも自分が集めたわけではありませんから、なかなかベストメンバーとはいきません。そんな中で、校内研修が始まるころだと思います。校内研修の計画は教務主任や研究主任が、自校の研究課題などに基づいて年間計画を立案するのが一般的だと思います。
     
    しかし、これまでに役に立つ、あるいは身につく校内研修を体験した方はどれくらいいるでしょうか?

圧倒的多数の教師たちは、校内研修の時間は、スイッチオフの状態になるのではないでしょうか。忙しい学校現場で貴重な時間を生み出して研修をするのですから、これではあまりにももったいない話です。

 なぜそのようになってしまうのでしょうか?

まず研修内容が自分のやりたいことと違うということが考えられます。自分は授業研究よりも学級経営のことをもっと深く学びたい、あるいは地域連携の在り方を学びたいなど、それぞれが課題と感じていることが違うので当然です。でも、学校課題が○○を大切にした授業のあり方の工夫であれば、何人かの教師が交代で研究授業を行い、それをみんなで参観して、放課後に授業研究会を行う、これが一番多いパターンでしょう。小学校ならば授業も自分がやってみたい教科なら興味がわくけれど、それ以外は遠慮したいなというのが本音ではないでしょうか。
     
また、中学校では教科担任制ですから、なおさら自分に関係ない教科から何を学ぶのかなどと醒めた見方をする人が少なくありません。要するに、自分が必要性を感じてもいないことに無理やり付き合わされるという研修では何も身になるはずがありません。

毎年、やってきたことだから今年も去年と同じようにやろうという発想はやめにしませんか。自分から学びたいと思えないような授業に無理やり子供たちを付き合わせるのと同じことがここでも起きているわけです。
     
そうだとすれば、校内研修のあり方を全く違う角度から考えてみたらどうでしょうか。

授業からいきなり離れられないのならば、教科の年間カリキュラムの中で、改善してみたいと思うところをそれぞれが選択して、自分なりのアイデアを基にして新しい内容を作り、それを学年ごとに持ち寄って検討してみるということも考えられます。
     
また、授業から少し離れてもいいという学校ならば、研究テーマを設定して、少人数のグループで研究を進めるというのはどうでしょうか。それぞれが自分のペースで研修を進めて、中間発表会や最終発表会などの機会を設けて、互いの研究成果を交流するのもよいのではないでしょうか。

 このようなやり方ならば、無理やり付き合わされて研修に参加するよりは、よほど主体的に取り組むことができると思います。教育委員会や教育センターの研修も、このような教師たちの主体的な研修を後押しするものであれば、だれも敬遠しません。

知恵を出し合えば、もっと効果的な教員研修が今のシステムの中でも実現するのではないでしょうか。様々な制約のなかで、よりよいものを求めていく、そのような考え方が学校を確実に変えていくはずです。

 

2017年4月16日日曜日

とても大切なセルフ・エスティーム


私が、「セルフ・エスティーム★(自尊感情ないし自己肯定感)」という言葉と、その大切さを知ったのは、『わたし、あなた、そしてみんな』★★(国際理解教育センター・直販、1994年)の翻訳出版を通してでした。その後、その本の「わたし」の部分だけを日本での実践版として出したのが『人間関係を豊かにする授業実践プラン50』(小学館・教育技術MOOK1997年)でした。

 その約10年後には『校長先生という仕事』(平凡社新書、2004年)を書いたのですが、校長を含めてすべての教師がもっていた方がいい「リーダーシップの枠組み」を図のようにまとめました。

10数年経ったいまでも、この枠組みでいいと思っているのですが、第6章の「自分」を大切にし、磨き続けるところに言及し忘れたことがあったことに最近気づきました。
 それが、セルフ・エスティームです。★★★
 いまさら本に付け足すことはできないので(すでに、絶版ですし!)、ここに書いておきたいと思います。

セルフ・エスティームとは、「自分自身を価値ある者だと感じる感覚のことです。自分自身を好きだと感じ、自分を大切に思える気持ちのことです。 自信と言っても良いでしょう。」★★★★ 自分勝手、自慢好き、自己中心とは違います。

それでは、セルフ・エスティームはどうして高められるのか? その具体的な方法を紹介します。(かなり、プラス思考=positive thinkingやgrowth mind-set=しなやかマインドセットと重複します。)

1.自分一人でがんばっているのではないことを認識する ~ 自己不信や自信喪失は、当人はもちろん、周辺の人や(社会的なリーダーの場合は)社会全体に悪影響を及ぼします。そして、自信をもっているように見えるリーダーも含めて、誰もがこの自己不信や自信喪失の側面はもっており、悩んでもいます。
2.自分の強みをリストアップする ~ 特に、落ち込んだ時には威力を発揮しますし、人とつながる際にも大切です。
3.自分の弱みもリストアップする ~ そして、それを対処する/補う方法を考える。この辺は、前回の<奇跡のレッスン>のゴルフ編で紹介したように、あまり反省しすぎたり、克服したりするようには考えないようにした方がいいでしょう。それは、自己不信や自信喪失につながってしまいますから。そうではなくて、自分以外の人に弱みの部分を助けてもらったり、補ってもらったりする方が誰にとってもいいです! あるいは、自分の強み=得意で補う、とか。
4.自分の及ぼした影響や達成したことをリストアップする。
5.強みをさらに伸ばす/磨く ~ 自分が得意なことで輝けると(評価してもらえると)自信につながる。 絵本の『てん』のワシテを思い出してください! 彼女は確実に描くことを好きになり、かつ展覧会を開けるほどにうまくなりました。
6.まあまあの部分を補強して、強みに転換していく ~ 間違っても、弱みを矯正することには努力しない(時間とエネルギーがかかりすぎるだけでなく、無駄な努力→自信喪失に陥る可能性大なので)。 ゴルフ編のコーチ流に言うと、「まあまあの部分」=「ギリギリセーフ」のレベルです!
7.気前よく自分の強みや知っていることをシェアする ~ 「成長すること」と「秘密にしておくこと」は馴染まない! 自分にとってはもちろん、周りの人にとっても。共有してしまえば、自分はさらにストックを増やすように自分を追い込むことにもなる。それが教えるということ?! 教える人は常に学ぶ人の数歩先を歩き続ける必要があるので。間違っても、教科書レベルで満足していいはずはない!
8.周囲の人たちのセルフ・エスティームを上げる手助けをする ~ 周りの人の強み/プラス面を見出し、それを共有したり、それから学んだりことで、関わる人みんなが得をする! きわめて良好で、プラスの雰囲気や関係を築ける。
ここでも思い出すのは、絵本の『てん』です。主人公のワシテのセルフ・エスティームが上昇したことで、周りのたくさんの人が恩恵を受けました。とくに、まっすぐな線が描けなかった男の子(続編の『っぽい』の主人公のラモン)は! このサイクルが回り始めたのは、先生のユーモアいっぱいの助けがあったればこそ、でした。彼女は、相当のセルフ・エスティームの持ち主?
9.解決に焦点を当てる ~ 問題があることを嘆くのではなく(あるいは、放置するのではなく!)、自分たちが置かれている状況や自分たちのスキルや知識を良くしたり、伸ばしたりするためのチャンスと捉える。それは、「現状維持」思考から「成果」や「結果」思考に転換すること。前者からは、何も生まれない! =「ゆで蛙」現象の中に自分がいることすら気づけない!
10. セルフ・エスティームは、他の誰かが提供してくれるわけではないことを認識する ~ 自分でつくり出すしかない! ワシテが、たくさんの「てん」を描いたように。たとえ、きっかけは先生が与えてくれたとしても。その意味では、単に展覧会を開いて終わりではなくて、ワシテがラモンにしたように、次に何をするのかこそが問われる!


★「セルフ・エスティーム」で検索すると、たくさんの情報が得られます。たとえば、「セルフエスティームが高い人の12の特徴」など。http://minimalist-fudeko.com/self-esteem/
★★ これの方が、アプローチとして日本の道徳教育よりもはるかにいいということで、翻訳出版した本です。タイトルの「わたし、あなた、そしてみんな」は道徳の4本の柱のうちの3本です。(残りの一つは、かなり神がかっているので扱うのが難しいです。宗教教育や環境教育として取り扱った方がいい気がしています。)教科化した道徳は、ますます子どもが学ぶのにも、教師が教えるのにも楽しくないし、身につかない方向に行っています。「説くこと=教えること=学んだり、身につけたりする」ではないことを、道徳を教科化する人たち、学習指導要領を書く人、教科書をつくる人たちは、知らないのでしょうか? (それは、教師や子どもたちを苦しめるだけ!?)
★★★ 言葉は使っていませんが、そのニュアンスは本に書かれている内容でも、十分に伝わっているとは思います。しかし、真正面からそれを扱う必要性を感じたので、今回書き込みをする決断を下しました。


2017年4月9日日曜日

奇跡のレッスン ゴルフ編


 このテレビ番組で紹介されたこと★は、教師と子どもたちとの関係はもちろんのこと、学び続ける教師集団にも参考になるのではないかと思ったので、その要点をまとめました。
 ゴルフの「最強コーチ」は、タイガー・ウッズの育ての親、ルディ・デュランさん。「失敗は忘れ、いい記憶だけ残そう」というアドバイスで、反省ばかりの子どもたちが変わり始めます。
 1週間のレッスンを受けたのは、公立中では珍しいゴルフ部がある千葉県多古町立多古中学校のゴルフ部員たち。(町のゴルフ好きの大人たちが支援しているだけでなく、民営のゴルフ場も部員たちに施設を無料提供しています!!)

 そのゴルフ部員たちに顕著に見られる傾向は、メンタルの弱さです。(ゴルフは技術のスポーツではなく、メンタルのスポーツだそうです。) 
打った後にネガティブになっている!
どうすれば、ベストの自分を出せるか?
正しいやり方も、間違ったやり方もない!
もっと独創的になってほしい。
真似をするだけでなく、自分で考えて行動してほしい。
こういったことを、1週間のコーチングで改善しようというわけです。
実現する方法は・・・・みんなそれぞれ違うのだから、自分の方法を掴めるように、ポジティブな声掛けをしていく

 以下、3つのハイライトに分けて紹介していきます。(これだけでも、いろいろなことに応用が利くヒントが満載だと思います!)

(1)「いい記憶のライブラリー」
 練習2日目だったか、デュランさんは部員全員にノートを配りました。
 「うまくいったことだけを書いてほしい」
Memory Library 「いい記憶のライブラリー」のためのノートです。
欠点を補うより、得意なことを伸ばしましょう!

すると、生徒から「悪かったところの改善点を書いてもいいですか?」という質問が投げかけられました。(反省することは慣れているけど、なかなかよかった点は出せない、というのです。)答えは、「君が役立つと思うことなら、何でも書いていいよ。書いているうちに、中身が変わってくるから。」

「今日は、君たちに挑戦してもらうよ。自分の殻を破るんだ」と言い、常識を覆すドライバーでパットをするレッスンを始める。そして、「もっとクリエイティブになってほしい。クリエイティブに発想できれば、ゴルフが楽しくなり、スコアもよくなる」と言います。

「まずいショットをたくさん打ちましたが、いいショットも打ちました。そのいいショットをもっと打てるように導いてあげればいいのです。いい感覚を思い出せばいい。」

「打った後の気持ちのもち方を学べば、悪い記憶を消せるようになる。打つまでのプロセスが、打った後の気持ちに影響する。」
たとえば、
プロセスとして、「ボールを最後まで見続ける」と宣言する。
打つ前に自分がやりたいことを宣言する。
過程(プロセス)を意識すると、結果もよくなる。
(結果だけに焦点を当てても、プロセスが悪ければ、結果は得られない!それも、繰り返し)
しかも、結果が悪ければ、気持ちはネガティブに。良ければ、ポジティブに。
プロセスを意識すれば、結果に左右されづらくなる。
結果を得るために、自分がやりたいことは何かな?
プロセスも結果も良かったから、いまのいいイメージを残して続けたらいい。
いい記憶を残せれば、悪い記憶を消し去ることができる。
    <これを読んだだけでは、ちょっと信じられない/想像もつかないというかたは、「奇跡のレッスン ゴルフ」で検索すると動画が見られてしまうので、ぜひ見てください>

そして、「成功のサイクル」がよかったです!(実際は、丸い円で紹介されていました)
記憶のライブラリーから
             ↓
      決断
             ↓
宣言
             ↓
      アスリート(からだが覚えた感覚で、ボールを打つ)
             ↓
      気持ちの持ち方
             ↓
      保存(いい記憶だけを保存)
             ↓
ライブラリー(いい記憶が貯まれば貯まるほど、すべてがうまくいくようになる)

※ 「失敗に価値はありません。」 だから、いい記憶だけを残すノート!

(2)パーソナルパー = 他人ではなく、自分で目標を決めて、そこに到達しようとする。
→ パーは上級者の規定打数。自分の実力や体力に合わせて目標を変更して達成可能なものにし、成功体験を強化する。  → タイガー・ウッズの幼少期には、飛距離にあわせてパー5をパー6などに置き換えていたそう。

(3)ショットを6段階に分類し「ギリギリセーフはOK」という考え方をもつ   →「悪いショット」ではなく「ぎりぎりセーフで何とかなる」という前向きな思考を持つ。
  6段階のうち、4つ(3分の2)はOKなのがいい!! ダメと思う確率を、3分の1にしている!

6段階評価:
Great     とてもいい
Good      いい
Very Playable 十分に大丈夫
Playable    なんとか大丈夫(
ギリギリセーフ
Bad           ダメ
Very Bad    とてもダメ


★ この番組は、教師必見です。いま行われているどんな教員研修よりも、はるかに得るものが多いです! サッカーから始まって、テニス、バスケットボール、バレーボール、野球、卓球・・・・陸上、最近ではコーラスやストリート・ダンスや料理まで。
  そんな中で、私の一押しは、デンマークのコーチのハンドボールです。



2017年4月2日日曜日

初任者指導教員としてのふりかえり~今後に向けた改善点~

 昨年4月からこの3月末までの1年間、ある小学校で週に2日半「初任者指導教員」をしてきました。今回は、私自身のこの1年間のふりかえりについて、紹介します。

■初任者指導教員として、初任者へのかかわりの中で「大切にしてきたこと」は、以下のとおりでした。

1.「プラスのフィードバック・勇気づけ」を多くする。→ 「信頼関係」が生まれる。

2.授業中や学級の中で起こっている子どもたちの「事実(行動、発言・つぶやき・ノートに書いた内容、表情、態度etc.)」をしっかりと記録し、初任者本人に伝える。→ 初任者が「自己盲点」に気づく(自己理解、子ども理解の促進)。

3.「質問」を通して、本人の「気づき」を促す。
  →「授業が、子ども主体の学習になっているか?」
   「学習活動や学級活動が、子ども同士が協同して行うものになっているか?」
   「教師が、子どもたち一人一人を尊重しているか?また、子どもたち同士が、
   お互いを尊重しているか?」

4.本人が自分自身で考えるために必要な「情報提供」や「提案」、「選択肢」を示す。→ 情報提供:参考になる本やインターネット上の情報、研究会などを含めて

5.できる限り、本人の考えや希望・やりたいこと・やってみたいことを優先する。

6.一緒に考える。

7.モデルとして示す。 「マイクロ・ティーチング」のスタイルで行う。

8.辛抱強く待つ。決して、拙速に一方的に押し付けたりしない。

9.初任者が、気になることや困っていることの確認をし、相談相手になる。
(授業、学級経営・生徒指導、保護者や教職員との人間関係etc.

10.積極的に校内の先生方に教えを請うたり、アドバイスやフィードバックをもらうことを推奨する。→ 初任者本人が、校内での「メンター」を見つける。

 これらの中で、私の自己評価が低かったのは、3番と10番に関する内容です。特に、教師として最も重要な使命である「授業を子ども主体の学習にすること」の実現が、不十分であったと反省しています。★ 

教科書をカバーする授業ではなく、子どもの問い(疑問や調べたいこと、知りたいこと、学びたいこと)を生かした授業を創造することについて、情報提供するだけでなく、実践を促す「フォローアップ」を丁寧に行いながら、もっともっとたくさん実践できるようにかかわる・サポートするべきだったと考えています。 

例えば、国語の授業での『読書家の時間』や『作家の時間』の実践、理科の「課題選択学習」や「課題設定学習・課題研究」★★などの探究学習、生活科や総合的な学習の時間の「自分たちの地域の宝を見つけ、それを生かした取り組みを考え、発信する」実践、社会科の「歴史や地理の研究者になる学習」など、初任者にも実践できるものが、たくさんあります。 

さらに、初任者の教師としての成長という点で十分ではなかったと考えていることが、二つあります。

1.子どもたち一人一人の成長・発達促進という重大な使命を担っていることに対する「自覚」と「責任」をしっかりともつこと

2.「人に対する敬意(好奇心)」をもって、子どもたちや教職員、保護者、地域の人々にかかわること 

 週に2日半の勤務で、二人の初任者を担当していましたので、一人の初任者へかかわれるのは、1日と2時間ほどでした。その中で、初任者指導教員が一人で、初任者の教職に関するすべてのことについて、助言指導し育てていくことは不可能です。 

初任者の人材育成は、当然、「校内指導教員」である教務主任、学年主任を中心とした学年職員、校長先生、教頭先生、年齢の近い20代・30代の先生たちなど、様々な校内ネットワークの中で、お互いが連携・協同して、学校全体で、あるいはチームとして行っていくべきものです。このことは、初任者に限ったことではありません。すべての教職員の人材育成に当てはまることだと思います。★★★ 

■つまり、初任者指導教員として、初任者を育てるための「校内ネットワーク」あるいは「チーム」を組織・機能させることができなかった点が、最も反省すべきことであり、今後改善すべき課題の中で最も重要なものであると考えています。このことは、初任者指導教員が集まる研修会・協議会での情報交換から考えて、多くの学校で当てはまることのように思えてなりません。 

 教師の学び(教員研修)のイノベーションを起こすために、初任者指導教員にも、学びのコーディネーター・イノベーターの役割を果たすことが求められているのではないでしょうか!! 



★  2016821日のPLC便り教師に「コーチ」という存在がいたらの中で紹介されている「読み・書きの指導に特化したコーチが、どのような仕事をしているかを描いた本『Becoming a Literacy Leader, by Jennifer Allen初版』のp.44に掲載されている自分の学校でのPD=授業改善が成功した理由」は、初任者の授業実践をサポートするうえで、とても参考になります。 

★★ 201665日のPLC便り子どもたちが意欲的に取り組む理科学習の例で、「課題選択学習」と「課題設定学習」のプロセスについて紹介されています。

★★★ 2016710日のPLC便り教師の学び(教員研修)が抱える課題とそれを乗り越える方法でも、6. 学校のリーダーは、学校の中で教職員がプロとして学び続けられる文化をつくり、維持する責任がある。7. 学びや学校を変える単位は、個人ではなく、チームである。などが挙げられています。